三代目 稚児櫻(ちござくら)


大正14年中秋刊行の「六甲山鷲林寺記」というものがあります。これはお寺の沿革や、当時のお寺に現存するものについて紹介されています。その中に「稚児櫻」(ちござくら)という項があります。

「稚児櫻 本堂の横にありて樹齢数百年稀有の大木にして、かつ花又類を他に見ず 猶境内に数百本の牡丹櫻の大木有り その美は吉野須磨寺のそれに優るとも決して劣らず 春陽の頃俗化の未だ及ばざるを喜ぶ観櫻者つどう」
とあります。

現住職が物心ついた頃、「稚児櫻」たる桜は確かに本堂横にありました。しかし、この文書に示されているような樹齢数百年の大木ではありませんでした。先代住職に聞くと、その桜は二代目であるとのことでした。しかし、残念なことに二代目の「稚児櫻」も平成5年に枯れてしまいました。

この度、そのお話を聞かれた当寺檀家の前田様が「稚児桜」を再び鷲林寺に咲かせたいとの想いをもたれ、四国・高松市にある鬼無稚児櫻をご寄進いただき、「稚児櫻」があった元の場所に植樹させていただきました。今は小さな木ですが、数十年後には立派な大木になってくれるよう願います。


平成21年11月20日植樹
稚児櫻

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